贈与か!?放棄か!?不動産の共有持分の考え方

共有持分の放棄はみなし贈与

不動産の共有者が自分の共有持分を他の共有者に贈与すると、受贈者(もらったほう)には贈与税が課されます。

Aさん「これ、あげます。」、Bさん「はい、もらいます。」←これが贈与です。

一方で、共有者がその共有持分を放棄したときは、民法上、その持分は他の共有者に帰属することになっていますが、これは単独行為なので贈与には該当しません。

Aさん「私の共有持分、もういりません。」←これが持分の放棄です。

しかし、共有持分の放棄についても、相続税法上、贈与とみなされて、他の共有者に贈与税が課されます。共有持分の贈与も共有持分の放棄も、ここでは、同じ課税関係になります。

みなし贈与も所得税の非課税

所得税法では、個人から「贈与」により取得した利得について、非課税としています。
贈与を受けた人に所得税はかからないということです。

そして、この「贈与」には、贈与と「みなされるもの」を含みます。
贈与税と所得税の二重の課税が忌避されているのです。

すなわち、「共有持分の贈与」であろうと「共有持分の放棄」であろうと、
利得を得た人には、贈与税は課せられるが、所得税は課せられないということです。

共有持分の個人間の贈与・放棄と譲渡所得はどうなる?

では、共有持分の贈与や放棄をした側に税金はかかるのでしょうか!?

個人に対して財産の「無償移転」をする行為は、共有持分の譲渡による財産権の移転ではありませんから、譲渡所得に対する所得税の課税問題が生ずることはありません。

すなわち、「共有持分の贈与」であろうと「共有持分の放棄」であろうと、所得税はかからないということです。

おさらい:「贈与」もしくは「持分の放棄」をした場合の課税関係の違い

不動産を手放した側

  • 贈与した場合:所得税は課されない
  • 持分を放棄した場合:所得税は課されない

不動産を得た側

  • 贈与により取得した場合:所得税は課されないが贈与税は課される
  • 持分の放棄により取得した場合:所得税は課されないが贈与税は課される

ここまでは、「贈与」の場合も「持分の放棄」の場合も課税関係に違いはありません。

しかし、「贈与」あるいは「持分の放棄」により、不動産を得た人が、その不動産を売却する場合にはどうでしょうか?

この場合、当然に不動産を売却した人には譲渡所得税が課されるわけですが、その不動産が「贈与」により取得したものなのか、「持分の放棄」により取得したものなのかで、税額に大きな違いが出る場合があります。

譲渡所得税は、簡単に言うと、売却収入から「取得費」を差し引いた金額に対して課されます。したがって、その「取得費」の金額が税額計算の上で非常に重要になります。

 

ちなみに課税実務上、取得費の取り扱いは以下の通りになります。

  • 贈与により不動産を取得した場合の取得費:贈与者の取得日・取得費を引き継ぐ
  • 持分の放棄により不動産を取得した場合の取得費:贈与時の時価

したがって、

共有持分贈与の場合には、贈与税で時価課税され、その贈与物件を次に譲渡する時に再び時価課税されます。そのため、引き継ぐ取得費 を超える部分は二重課税となります。

一方で、共有持分放棄の場合には、取得費の引き継ぎがないので、まるまるの二重課税になるのかと推測されそうですが、当局側の課税の実務では、贈与課税時の時価を取得費とするので、逆に二重課税部分は全くなくなります。意外にも軽い税負担になります。

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